【虐待から逃れて】自閉症の息子を支えアーティストに育てた母の愛

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【虐待から逃れて】自閉症の息子を支えアーティストに育てた母の愛
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2人の息子を抱えて夫から虐待を受ける日々。。。

 
ある日、決心をして家を出てからは、自閉症の息子を支え、励ましながら生きてきた母。そして息子は絵の才能を生かして後に世界で知られるアーティストとなり、オペラハウスで公演をするまでになります。

 
その母が声を大にして言います。
「世の中には虐待に苦しむ人が大勢います。しかし明るみに出るケースはほんの僅かで、助けを求めることが怖いと思っている人が多いと思います、私もそうでした。でも、勇気をだして声をあげてください、孤独でありません。助けてくれる人はいます。そしてあなたの人生を再スタートして欲しい。」

 
 
幾多の困難を乗り越えた強い強い母親のお話です!

 

息子のティムは3才で自閉症と診断

ブリスベンに住むジュディーは、夫と2人の息子のティムとサムと暮らしていた。
ジュディーは泣き叫ぶ3歳のティムをつれて医者に行くと、自閉症だと診断される。この頃のティムはうまくしゃべることができず、ジュディーが部屋を去るとヒステリーを起こしたり、気に入らない組み合わせの服を着せると怒り、冷蔵庫に近づきすぎると耳を覆って叫んだりしていた。お隣の6ヶ月違いの女の子と比べると、少し違うとは思っていた。

 
医者に言われたことはジュディーにとってショックだった。
「この子は一生しゃべらないし、何も達成しない。施設に預けるのが一番ですよ。感情がなく、愛するということがわからない、この先も一生お母さんのこと愛さないでしょう。母親を道具のように使っているだけです。」と。

 
ジュディーはこの日のことを鮮明に覚えているという。
よろけながら車までたどり着き、やっとの思いで赤ちゃんを乗せ、なんとかティムを座らせながら流れ出る涙。
 
その時!!
ティムが小さな腕をのばしてジュディーを引き寄せ、その小さな指で頬につたう涙を拭き取ろうとした・・・!

 
彼女にとって決して忘れない瞬間だった。

 
「私の息子が私のことを愛していないだなんてウソよ!」
「助けて、お願いだから助けて!誰か助けてくれる人が必要なの・・・・!」
大声で叫ぶジュディー。

 
 
ただ、ジュディーへの負担はそれだけではなかった。。。
 

 

夫の絶え間ない脅迫、束縛、虐待

ジュディーは28才で結婚。夫は優しいいい人だと思っていた。毎週金曜に必ず花を買ってきてくれたが、その一方で執着心が強くほんの小さなことにも嫉妬深かった。特に子供が生まれてからはますますひどくなり、あらゆる性的、心理的虐待を受けた。自分に向けられていた関心が、子供に向けられることに我慢がならない様子だった。そんな夫は子供の世話をすることはなく、もちろんティムのことも協力的ではなかった。。。

 
夫は、私をコントロールしようとし、束縛もひどかった。家のドアはテープで塞がれて外にも出ていないかチェックされ、悪い母親だと罵られた。あるとき。彼はライフルとカメラを取り出して、

 
「今日がお前の最後の晩だ、お前を殺す。だから死んだ後にも子供達がわかるように記念に写真を撮っておく。」と言った。

 
幸い、この晩はなんとか難を逃れることができたが、ジュディーは家を出ることを決心する。

 
 
まさにこの日の写真がこちら↓
絶望に満ちたひどい顔をしていて、思い出したくもない記憶があるが、ジュディーは強い決意をした日を忘れないよう、そして、人々にも知ってもらうよう、毎年2月1日にこの写真をFacebookにアップしている。

 
 

夫から逃れる決意をするが

翌日、夫が仕事に出かけた直後に引っ越しトラックを予約した。事情を話して、夫に見つからないよう、夫が出かけた直後に、決して時間に遅れないよう念を押して頼んだ。

 
ティムは自閉症があるため、保護施設には受け入れてもらえない。その為、自分達が住めるアパートを探すしかなかった。とはいえ、家計はすべて夫が握っていたからジュディーの自分のお金はほとんどなかったが、銀行に行って、入居金と最初の1週間の家賃分だけをなんとかかき集めた。

 
そして家を出る日の朝になったのだが、、、

 
ティムが玄関の戸をふさぐようにミニカーのトラックを何台も並べていた。
引っ越し屋が来るのを感じ取っていて、ティムはここを出て行きたくないのだ。

 
それを見たジュディーは、家を出るのをあきらめるしかないと思った。。。「もう引っ越しはしないわ」と引っ越し屋に言うと、彼らは、

 
「僕の母も同じだったんだ、できるよ、大丈夫だから」

 
と言って、荷物を運び始めた。それでジュディーははっとする。ここであきらめてはいけない、と。

 
もしあの時、引っ越し屋の彼にそう言われなかったら、きっとあきらめていた。
「そのひと言が人の人生に及ぼすことの大きさを知ったわ。」と語る。

 

自閉症の子をもつシングルマザーの奮闘

引っ越しをしてなんとか仕事を見つけ、毎日ぎりぎりの生活をしていた。ティムは4歳になり特別学校に行き始めた。ティムは学校でもうまくやっていけるのが心配ななか、自分とのコミュニケーションもうまくいかない。しかし、ある日ジュディーは、あることに気づく。

 
いつも注意散漫なティムが、絵にだけは興味を示す。
その日から2人の絵を通してのコミュニケーションが始まる。ジュディーはティムが絵を描くのを励まし続けた!

 

 

レーザー・ビーク・マンの誕生!世界的な賞も受賞!

ティムは11歳の時に、頭の中で彼のスーパー・ヒーロー「レーザー・ビーク・マン」を生み出す。
 
「レーザー・ビーク・マン」は、悪いものを良いものに変えるレーザー光線で、世界で最も美しい都市・パワーシティを守るスーパー・ヒーロー。ずる賢い幼なじみにレーザーの能力を奪われ、レーザー・ビーク・マンは友人たちと彼らの街を救うために立ち上がるキャラクターだ。そして、このキャラクターが今後の彼の人生の中でも大きなヒーローになっていく。

 
そして、2004年にティムの大ブレークが到来する。
ワシントンで開かれるVery Special Arts festivalの若者の絵画部門に、オーストラリア人で唯一、4人中の1人に選ばれたのだ!

 
その受賞時にジュディーはこう語っています。
 
「いままで一番つらかったことは、孤独だったことです。」
「これまでは社会との接点がないような気がしていた。」
「自分達はなにか普通の社会から隔絶されて、ただ孤独に毎日立ち向かっていくしかないと思っていた。」
「けれど、ティムが賞をとってからは、毎日家に問い合わせの電話が来るようになり、外の世界とコミュニケーションが始まった。」
「社会との関わりが持てたこと、ティムがこれからも社会の中で生きていけるようになると思えたことが、なによりも嬉しかった。」

 

 

レーザー・ビーク・マンが大ブレーク!

その後、オーストラリアの国営放送ABCニュースからも取り上げられて以来、彼の描く『Laser Beak Man』は大ブレークする。作品には$1000-$1500の価値がつけられるまでになった。国際的注目も集め、今やオーストラリアだけでなく香港やアメリカでも展示され、子供チャンネルABC3でのアニメの放映も始まった。2017年には人形劇とのコラボで、オーストラリアのナショナルツアーをするまでになった。

 
さらに、最近でもシドニーフェスティバル2020の一環としてオペラハウスで人形劇として上演が決まっている!

 
人形劇として上演するコラボのアイデアが上がってからは、改めてストーリーを考え、脚本を書き、音楽も人形劇プロジェクトのグループと協力して作品制作に取り組んでいった。そして、これが彼の音楽へのきっかけになり、キーボードやギターを弾くようになる。人形劇は子供達にも大人気。幼いころに自閉症と診断されたティム・シャープの世界観が、人形劇でよみがえった!と高く評価された。

 

 

同じ課題を抱える人の助けになりたい

今ではティムは、音に敏感でいつもに泣き叫んでいた3歳の時からはほど遠い、立派なアーティストである。落ち着いていて、礼儀正しく人を引きつける魅力がある。自閉症は彼の個性になっている、とふたりを昔から知っている友人の女性はいう。

 
母親のジュディーさんは、世界で1人として虐待を受けていい人はいない、勇気を持って声を上げ、抜け出して欲しい。そして、自閉症の既成概念にとらわれないで欲しい、という思いを胸に精力的に活動。ストーリーを多くの人にシェアすることで、同じ課題を抱える人の助けになりたいと語っている。自身の経験を本に出版、自閉症団体にも参加し、TEDでも講演している。

 

「私自身も虐待から逃れ、自閉症の息子をシングルマザーとして育て、人生で大切なことは人を思いやることだと教えてきました。そして、2人の息子は立派な大人になり、2人とも思いやりがある男性になりました。息子達は決して人を傷つけたりしない。それが母として一番誇らく思うことです。」

 

参照元:TEDABCLaser Beak Man by Tim SharpThat’s Life

 

TEDでも講演

 

 

オーストラリアの特集映像

国営ABCテレビのドキュメンタリー番組「オーストラリアン・ストーリー」
TVで本物の”リアル” を描くことを主軸に据え、リアルなオーストラリア人を紹介し続けて数々の賞を受賞。ナレーションはなくインタビューだけの構成となっており、人々の口から語られる言葉には説得力があり、考え、感じさせられる。

 

 

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