【月の子】太陽を浴びたことがない子供たち

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【月の子】太陽を浴びたことがない子供たち
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想像してみてください。一度も太陽を浴びたことがない。
常に影で生活しなくてはならない。
なぜなら、太陽を浴びたら死ぬかもしれないから。

 

珍しい皮膚病XP(色素性乾皮症)

XP(色素性乾皮症 Xeroderma Pigmentosum)を持つ子供たち。
人懐っこいこの子たちは、太陽が沈んだ後に外に遊びに出てくる。

 

アメリカのロッキー山脈のふもと、ユタ州に住む12歳の少女Paris Feltnerは、
同じ年齢の子たちが寝る準備をしている時間に外に出てきて、
いちど出てくると思い切りたくさん遊ぶ。一切の太陽光を浴びることができないからだ。

 

 

夜に外に出る「月の子」

XP色素性乾皮症を持っていると、通常の皮膚よりがんになりやすい。
夜に外に出ることから「月の子」とも呼ばれ、とてもロマンチックに聞こえるが、
日光や紫外線などの強い光線過敏が皮膚に生じる、数千人に1人に現れる皮膚疾患である。

 

もし日中に出る場合は、足元から頭の先まで体中をカバーしなければならない。
日焼け止めを塗り、顔を守るシールドの帽子も被らなくてはならない。
少しでもずれたら命に関わる。ただ、この防具服も100%安全なものではない。

 

XP色素性乾皮症を持っている子供たちは、一生涯皮膚で太陽を感じることができない
太陽と風を顔で感じることもできず、「天気の良い日」を経験することができないのだ。
顔にできるソバカスは、いつかはガンに変わる可能性がある。
皮膚の一部分に太陽が1秒でも触れるだけで、その部分が皮膚ガンになり転移して死に至ってしまう

 

ほとんどのXP患者は、毎日よほど気を付けていないと、だいたい10歳から20歳までしか生きることができない。
子供たちはできるだけ環境をコントロールして生活しているが、周りの見知らぬ人たちのリアクションはコントロールできない。
パリスの下の弟もXPを持っているが、外に出るときは人の目を気にしてふさぎ込みがちだ、
そして常にUVメータで紫外線をチェックしなくてはならない。

 

太陽の国オーストラリア

 

オーストラリア、アデレードに住むMary Begさんも同じ病を持っている。
彼女は夏でも、外に出る時は完全防具を着て出ないといけない。それも朝の早い時間、紫外線レベルが低い時間帯を選んでいる。

 

オーストラリアは太陽の国と言っても過言ではないほど、紫外線の強い国。
メリーさんは「まるで自分の祖国にアレルギーを持っているかのようだわ」と語る。
母親のリンダさんは、外に出る時は必ず紫外線を測る機械を持ち歩いて、紫外線レベルを常にチェックしている。

 

夏のアデレードは紫外線レベルは13〜14にもなるが、Maryさんはレベル3以上は耐えられないのだ。

 

 

自宅でも防備には気をつけなければならず、全ての窓には自動シャッターが備え付けられている。
太陽が出ている間ずっと全てのシャッターを閉めて光を家の中に入れさせないようにしている。

 

家の中はずっと真っ暗なまま。しかし、Maryは太陽の紫外線だけではなく、

人口の光からの紫外線もアレルギーを持っている。
「XPで大変なのはどんな時も長袖、ズボンを履いてなくてはいけない。そして1時間に1回は日焼け止めをつけなくてはならない。
だからイライラすることが多い。」屋内でもずっと気をつけていなければならないのだ。

 

 

「私たちの生活に共感できる人は少ないと思う。よく言われるのが、『太陽に出なければいいでしょ?』
1日でもやってみたらどんな気持ちになるかわかる、そう簡単ではないは。」と母親は語る。

 

 

この病気は人間の回復するというDNAがないため発症する。そして皮膚がんになりやすい。
しかし、彼らの病気への研究が医学の進歩に貢献できるかもしれない。
人間の老いるメカニズムへのパズルの鍵になるかもしれないからだ。

 

アメリカの博士の研究では、実験用のネズミにXP因子を入れたところ、異常な倍の速さで老いていった。
25週目には骨粗鬆症を患っていた。
人間だと20歳、25歳で85歳、90歳になるのと同じ。

 

XPはDNAのコードが不足しているために起こる。それは、修復する力であるが、これが不足していると、皮膚癌にもなりやすい。
そして同じく、我々の老いることにもつながってくる。DNAが損傷していると、人間は早く歳をとってしまうことがわかった。
この病気の研究は、老いることに対してもヒントを与えてくれる可能性があるようだ。

 

 

 

オーストラリアでの特集映像

 

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SHIMADA
嶋田祐(Yu Shimada)
東京オフィスマネージャー
03-5437-5546